釜山市内にいながらにして、遠く離れた海辺の村にいるような気分が味わえる「青沙浦」と「尾浦」。その素朴な風景に浸ってみよう。
青沙浦の「青沙」は、文字通り「青い砂」を意味する 。名前を聞いただけでワクワクし、爽やかな気持ちになってくる。都市鉄道「萇山駅」を出たら、丘を越えて道なりに歩き続けると青沙浦入口の交差点に出る。その向こうに、小さな漁村「青沙浦」が見えてくる。丘を登ると姿を現す青沙浦の美しい景色に、思わず目を奪われてしまう。
青沙浦のシンボルとも言える赤と白の双子灯台が見えてくる。まっすぐ伸びた道を歩いて灯台の前にたどり着くと、果てしなく海が広がり、日差しが眩しい。青い海が途切れることなく波打ち、耳元の波の音が心地よい。入り江の蒸気船や網を眺めていると、どこか懐かしく、安らかな気持ちになれる。
海を見守る青沙浦の有名な「望夫松」は、漁師の妻が漁に出た夫の帰りを待ち続けていた場所だという。望夫松の前に立ち、夫が無事に帰ってくることを願ったその視線をたどって沖合に視線を移すと、青い「タリットル展望台」が海に向かって伸びている。
「タリットル(飛び石)」という名前の響きが美しい。海の上にぽつりぽつりと姿を見せる小さな岩場を渡るように展望台を歩く。見上げれば空、足元には海。視線の先の水平線が、旅人を魅了する。
海岸の方にもう少し近づいてみる。青沙浦海岸展望台は、藍色の海に染まってしまいそうなほど海から近い。美しい青沙浦の海に目を奪われた旅人の胸には、一生忘れられない思い出が残る。
今度は、青沙浦と尾浦を結ぶ鉄道散策路に足を運んでみる。この線路は、青沙浦を基準に東は九徳浦から松亭海水浴場まで、西は尾浦から海雲台海水浴場まで続く。ザクザクと音を立てて砂利道を進み、尾浦まで歩いてみよう。一方には海松が茂り、もう一方には青い海が広がる、韓国でも珍しい海岸に敷かれた鉄道だ。延々と続くレールを辿って歩き、トンネルを抜けると尾浦に着く。尾浦は「都市の中の漁村」だ。長く伸びる海雲台海水浴場と冬柏島、そして摩天楼が、そこが都心であることを物語っている。その対岸の端に、素朴な尾浦があるのだ。小さな釣り船や遊覧船が出入りするため、尾浦船着場とも呼ばれている。
昔ながらの風情を感じたいときに訪れたい小さな入り江、青沙浦と尾浦。
カラフルな灯台と青い海が恋しくなったら、青沙浦と尾浦まで足を延ばしてみよう。
*** 「尾浦チョルキル(廃線路)」は、工事のため2020年6月まで閉鎖となります。 ***