カンカンイ芸術村
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0 影島橋を渡った先、チャガルチ市場の向かいの岸壁には、たくさんの船が停泊している。「世の中に直せない船はない」と言われた伝説的な修理・造船のメッカ、カンカンイ芸術村がある場所だ。「カンカンイ」とは、修理・造船所で船の表面のさびだらけの塗料や貝殻を金槌で叩いて剥がす「カンカン」という音に由来する。毎日、町 全体に「カンカン」という音が鳴り響いていた時代から、大平洞一帯は「カンカンイ芸術村」と呼ばれるようになった。
そのような由来から、そこで働いていたのは職人の男たちだったというイメージがあるが、実はそうでもない。一本のロープに命を託し、長年にわたって厳しい作業を繰り返してきたのは、大平洞のおばさんたちだった。子どもたちの世代には豊かな暮らしをさせてやりたいという一念で、難聴と耳鳴りに耐えながら黙々と造船所を守ってきた「鉄の女」たちだ。